『母という呪縛 娘という牢獄』 齊藤 彩 著


私の本棚 153

    出版社:講談社

2018年に起きた、滋賀県在住の看護学生(逮捕時は看護師)が母親を殺害し、死体損傷、遺棄した事件のノンフィクション。
子どものころから母親による体罰等を受け、9浪させられ大学看護学科に進学していた。

母と娘のLINEのやり取りや、著者が被告との面会や手紙のやり取りを通じてまとめられている。体罰や言葉の暴力を浴びせる母親、その母親から逃げようと家出を繰り返す娘、一方で娘と旅行をしたり、一緒にお風呂に入るような母親。
娘は裁判で「私か母のどちらかが死ななければ終わらなかったと、現在でも確信している」と述べている。

いびつな親子をまわりが察知し対応していたならば、こんな悲劇は起こらなかったのではないか、もっと早い段階で健全な生活を取り戻すことが出来たのではないか、・・・そんなことなどを思った一冊です。