私の本棚

清水ひろしが最近読んだ本をご紹介いたします。

『春、戻る』瀬尾 まいこ

私の本棚 37


      出版社:集英社文庫

      主人公さくらには、岡山で新人教員として勤めたが、挫折をして1年で退職した過去があった。結婚を控えたさくらの前に突然兄と名乗る男が現れる。やがて、その兄という男は、その折の校長先生の息子だと分かる。

      「思い描いたとおりに生きなくたっていい。つらいのなら他の道を進んだっていいんだ。自分が幸せだと感じられることが一番なんだから。」 過去の苦い思い出から解放される主人公の思いが描かれています。

『舟を編む』 三浦しをん

私の本棚 36


      出版社:光文社文庫

      出版社の辞書編集部を舞台にした、辞書「大渡海」が長い年月をかけて完成するまでの小説。
      学者、作成する出版社の主人公や同僚、アルバイトの学生、薄くて軽く、裏写りせず、ぬめり感のあるめくりやすい紙を開発する印刷会社、多くの情熱によって辞書は作られていることが分かります。

      完成した辞書の名「大渡海」には、「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」「海を渡るにふさわしい舟を編む」 という思いが込められています。

『たばこは悪者か? ― ど~する? 受動喫煙対策』 村中洋介

私の本棚 35


      出版社:信山社ブックレット

      区議会でも議論になる喫煙問題。
      著者は、「施設・敷地内」をターゲットとする受動喫煙対策だけでは、結果的に路上などでの受動喫煙を増やすことやマナー違反を助長することになりかねない。行政としても路上喫煙防止対策について積極的な対策を行い、適宜喫煙場所を公共空間に設置することによって、受動喫煙を防ぐ必要がある、と見解を述べています。

『望み』 雫井脩介

私の本棚 34


      出版社:KADOKAWA/角川文庫

      外出から帰宅せず、連絡のとれない高校生の息子。その矢先に息子の友人が殺害された。
      息子が犯人なのか、それとも事件に巻き込まれた被害者なのかが分からない。メディアは息子のことを犯人のように報道し、家族は嫌がらせを受ける日々が続く。
      殺されてしまったとしても無実を信じる父親と、犯人であっても生きていて欲しいと願う母親の姿が描かれています。

      メディア報道のあり方やSNS情報の信憑性についても考えさせられます。

『残業禁止』荒木源

私の本棚 33


      出版社:KADOKAWA/角川文庫

      会社からの残業規制指示により、困難を極めるホテル建設現場を舞台にした小説。
      社員の過労にる発病や自殺未遂、クレーン事故などが起こり、物語は展開していきます。

『「自己肯定感」を高める子育て』 ダニエル J シーゲル / ティナ ペイン ブライソン 著, 桐谷 知未 訳

私の本棚 32


      出版社:大和書房

      自己肯定感を高めるには、「キレない力」「立ち直る力」「自分の心を見る力」「共感する力」の4つの資質が必要だ、と著者は記しています。

      著書では、人間の感情を3つの状態に分けて説明しています。
      人間の感情は、バランスのとれている状態では「グリーン・ゾーン」にあるが、恐れや動揺、怒り、いら立ち、恥ずかしさなどを感じると、急性のストレス反応を起こし抑えがきかなくなっている「レッド・ゾーン」、あるいは心を閉ざして内向きなってしまう「ブルー・ゾーン」に入ってしまう。

      そのうえで、大人が子どもにすることは、キレてしまった時に「グリーン・ゾーン」に戻してやること、成長とともに「グリーン・ゾーン」を広げる手助けをすることだ、と述べています。

『舞台』 西加奈子

私の本棚 31


      出版社:講談社文庫

      ニューヨークに旅行している青年、その自意識過剰な心情を細やかに描いた小説。
      人の目を気にし、自分を演じ、それに息苦しさを感じる主人公の意識を、程度の差こそあれ多くの人が持っているのではないだろうか。

      著者は巻末のなかで、そういった息苦しく生きている人たちに自由になってほしいと同時に、でも「自分を作っててもええやん」ということを書いていて強く思うようになった。そして、状況は自分の気持ち次第で景色が変わる、このことを「舞台」で言いたかった、と述べています。

『パレートの誤算』柚月 裕子

私の本棚 30


      出版社:祥伝社

      生活保護のケースワーカーが殺害される。主人公は、そのケースワーカーが担当していた生活保護受給者の後任として回るうちに、不可思議な点に気付く。貧困ビジネスや裏社会の真相に迫るうちに事件に巻き込まれて行く。

      パレートの法則とは、働き蜂の法則と同じように言われ、組織の利益は全体のうちの2割の人たちがもたらし、8割は役立っていないという考え方。
      社会的弱者が自立し、すべての人が輝く社会が実現できればこの法則は成り立たなくなり、パレートの考えは誤ったものとなる、ということが書名になっています。

『ビッグデータ探偵団』 安宅 和人, 池宮 伸次, Yahoo!ビッグデータレポートチーム

私の本棚 29


      出版社:講談社現代新書

      「東京は標準ではなく特異な地域である」といったような色々な分野の分析をしています。

      そのうえで、「データ」は多くの人にとって分かるように「可視化」することがまず大事であること。そして、そのビッグデータが本来の価値を発揮するために、どのように活用するかを考え、その決断を下すのは、人間であり、最終的に必要となるのは、生身の人間の感じる力、決める力、伝える力である、と訴えています。

      あわせて、データは決して完璧ではない 「データは常に正しい真実そのものである」という発想は、データというものに対する大きな誤解である、とも指摘をしています。

『限界都市 あなたの街が蝕まれる』 日本経済新聞社編

私の本棚 28


    タワーマンションが乱立される都市部、コンパクトシティ化が進まない地方都市の状況について書かれています。
    街づくりが秩序を失っている現状から脱却し、子どもの世代にとって負の遺産となるかどうかを判断基準に、これからの都市計画を進めるべきだ、と述べています。

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