Author Archives: kogakusha

『本を守ろうとする猫の話』 夏川草介 著


私の本棚 119

    出版社:小学館

 
「本」を本来のあり方として扱っていない人たちから、「本」を守るために猫と主人公の高校生が旅に出るファンタジー小説。

著者は解説のなかで「本」、とりわけ時代を超えて受け継がれてきた名作の価値について述べています。それらの作品を読み解くには苦労が伴うが、そのことによって人間の本性に触れる真実、時代を超える普遍性というものを感じることが出来ると記しています。

『まほうの寓話』 戸田智弘 著


私の本棚 118

    出版社:幻冬舎

 
30の寓話が解説とともに載せられており、生きていくために必要なことや教訓、判断する際のヒントが記されています。

『ツミデミック』 一穂ミチ 著


私の本棚 117

    出版社:光文社

新型コロナウイルスのパンデミックによって、日常生活は一変した。緊急事態宣言によって職を失ったり、フードデリバリー利用が増えたり、家族関係の悪化、メンタルへの影響、自粛警察やワクチン陰謀説・・・。
登場するのはそんな社会に苦しんだ人たち。怖い話やほっとする話の6つの短編集。
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一穂ミチ『ツミデミック』/光文社

『仕事の辞め方』 鈴木おさむ 著


私の本棚 116

      出版社:幻冬舎

    今年3月末で放送作家業を引退した著者が伝えたいのは、「自分の人生は自分で決めて動くしかない」「自分で大きく舵を切らないと変わらない」ということ。幸せは年とともに変わっていくし、サイズも形も人によって違う、幸せこそオーダーメイドだということ。

    これまでの仕事を通して、今の仕事にワクワクしているのか? バランスを取る立場なって若者を説得していないか(ソフト老害)? 仕事において自分の代わりはいることを自覚しているか? と問うています。
    そして、自分の人生・仕事を俯瞰で見ること、人脈は宝であり縁を増やして円にしていくこと、好奇心力を鍛えることが大事だと述べています。

『ジェンダー・クライム』 天童荒太 著


私の本棚 115

      出版社:文藝春秋

    性犯罪は被害者とその家族、加害者側の家族という多くの人を傷つけ悲しませる。そして、それぞれのその後の人生に大きな影響を与え続けていくことを描いています。

    著者は謝辞のなかで、女性や子どもが被害を受ける犯罪やハラスメントを生む要因の一つが、「主人」「奥さん」といった対等ではない関係を裏に秘めた言葉を、無意識に使う文化にあるのではないか、と述べています。
    小説のなかでは、主人公の鞍岡刑事が「無意識のうちに、女という性を軽く見ていたからですよ。性犯罪についても、たかがと思う心があったからです。一人の人間の人生を壊し、魂を殺すのも同然の、むごい犯罪が行われたのだという意識があれば、・・・。これは、この国の根っこにある、我々の罪ですよ」と迫っています。

    物語は重層的に展開をしていきますが、各所に伏線が記されています。最後の刑事二人のシーンに涙して読み終えました。

『職場の発達障害』 岩波明 著


私の本棚 114

      出版社:PHP新書

    過去において発達障害は小児期・思春期の問題ととらえられてきた。しかし、成人のADHD(注意欠如・多動性)の有病率は最少でも2~3%といったデータがあるように、教育や行政、職場における対応が求められている。
    また、成人期発達障害支援は、ASD(自閉症スペクトイラム障害)に対する対応に焦点があてられてきた経過がるため、ADHDに特化した就労支援はまだこれからの状況にある。
    そのうえで、ADHDやASDにおける就労上の困難さに対する理解を広めていくことが必要だ、と著者は指摘しています。

『自転しながら公転する』 山本文緒 著


私の本棚 113

      出版社:新潮文庫

    主人公は32歳の独身女性、与野都。恋愛、結婚、友達、職場、セクハラ、親の介護といった問題を抱えている。何かを決められず、時間は過ぎ環境は変わっていく。思い悩みながら生きる30代の女性を描いた小説。

    同じような息苦しさを感じている人は多いのではないだろうか。小説の中で登場人物たちが解決へのヒントを述べています。
    ○「不安じゃない日本人なんていないんじゃねえの」
    ○「人に助けてって言えなかったけど、言ってもいいんだってさっき思った」
    ○「運命はないってことは、正解はないってことじゃない。正解はないってことは間違いもない、つまり失敗もない」
    ○「やりたいことがあれば、話は簡単なのかもしれない。欲望が強い人が羨ましいな。私はあんまりそういうのがなくて」
    「それもいいことなんじゃない? 過剰じゃないってことはバランスが取れてるんだし」
    ○「長く一緒にいれば行き詰まるときもある。でも変化していけばなんとか突破口は見つかるものなのかもしれない。」
    ○「別にそんなに幸せになろうとしなくていいのよ。幸せにならなきゃって思い詰めると、ちょっとの不幸が許せなくなる。 少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ。」

    プロローグとエピローグ、主体が変わる記述などの構成も含め楽しめた一冊でした。
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    山本文緒 『自転しながら公転する』(新潮文庫刊)

『安いニッポンからワーホリ!』 上阪徹 著


私の本棚 112

      出版社:東洋経済新報社

    オーストラリアで暮らすワーホリ利用者へのインタビューによって構成された一冊。

    ワーホリの目的も変化してきた。まだ贅沢だった「海外」をモラトリアム的に楽しむ「昭和のワーホリ」は、英語を学ぶための「平成のワーホリ」となり、「令和のワーホリ」は現地から直接SNSで情報が得られるようになり、「稼げる」という状況もある。

    ワーホリや留学の価値は、多様性に触れることによって視野を広げ、人生観を変えられる、マインドチェンジが出来るということだ、と登場するワーホリ利用者は述べています。著者も、世界で生き抜く力を身につけておいたほうがいい、その力が「選択肢」をつくり武器になると述べ、「若者よ、今こそ海外に出よう」と訴えています。

    ただし、無計画な人たちには厳しく、海外生活の質は英語力で決まるとも指摘しています。

    日本が「失われた30年」から立ち直るには、過去の成功体験にとらわれないことであり、そのためには、海外に出て「新しい体験」をした人材が必要だ、そうでなければ日本は変われない、と著者は記しています。

『ルミネッセンス』 窪美澄 著


私の本棚 111

      出版社:光文社

    ダークサイドな短編集。どの作品も、昭和の象徴の一つとも言える「団地」を舞台に盛り込んでいる。時代は平成、令和へと移るが、昭和、つまり過去の出来事や思いに囚われながら生きている人たち。そんななか、何かがトリガーとなり、休符のつもりが囚われから闇という沼に落ちていったり、逆に心の変化が生じる。

    読後感の悪さが、作品に引き込まれる一つの魅力に感じられます。

『i (アイ)』 西加奈子 著


私の本棚 110

      出版社:ポプラ文庫

    主人公のアイ、友達のミナ、結婚相手のユーの3人を通して著者が訴えたかったのは、自分は社会のためにあるのではなく、自分のためにあること。だから、自分のことをまず大切にしていいのだということ。そして、その自分の幸せを願う気持ちと、世界の誰かを思いやる気持ちは矛盾するものではないよ、ということなのではないでしょうか。

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