Author Archives: kogakusha

『スピノザの診療室』 夏川草介 著


私の本棚 137

    発行 水鈴社/発売 文藝春秋

主人公の雄町哲郎は、内視鏡に長けた将来を嘱望される大学病院の医師だった。しかし、亡くなった妹の子である龍之介と暮らすため、京都にある小さな原田病院に内科医として勤めることを選ぶ。そこでは診察だけでなく往診も行っている。

その診察や往診対応、大学医局から研修にやってきた若い女性医師とのやりとり、甥の龍之介との生活を通して、医師としての考え方、命との向き合い方を描いている。

スピノザはオランダの哲学者。主人公は作品のなかで、スピノザは「人間にできることはほとんどない、それでも努力しなさい」と説いているんだ、と述べています。

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『スピノザの診療室』 夏川草介 著 発行 水鈴社/発売 文藝春秋

『俺たちの箱根駅伝(上)(下)』 池井戸潤 著


私の本棚 136

    出版社:文藝春秋

お正月の1月2日・3日に行われる箱根駅伝。本選出場が叶わなかった大学から編成される関東学生連合チームの戦いと、この戦いを中継するテレビ局における舞台裏と携わる者の奮闘を描いた小説。

選手たちの、マネージャーたちの、監督の、放送する人たちの、それぞれの思いに涙しながら、親子三人読み終えました。母校の応援だけではなく、箱根駅伝を観戦する楽しみがいくつも増えました。

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『俺たちの箱根駅伝(上)(下)』 池井戸潤 著 文藝春秋

『ゼロ打ち』 相場英雄 著


私の本棚 135

    出版社:角川春樹事務所

「ゼロ打ち」とは、選挙の投票が締め切られた二〇時ちょうどでメディアが当選を打つこと。
主人公の新聞記者が、衆議院議員選挙を取材しながら、都議会議員の不審死を追いかけていく。

『「今どきの若者」のリアル』 山田昌弘 編著


私の本棚 134

    出版社:PHP新書

16人の学者たちによる若者論。若者の意識などについてそれぞれ分析をしていますが、山田氏はまえがきのなかで、
「忘れてはならないのは、今若者が置かれている状況は、中高年世代が作りだしたものである。若者が消極的になっているのも、『今の若者の責任ではない』のである。若者に何か問題があったとしても、反省すべきは、私を含んだ中高年であることを肝に銘じなければならない。」と述べていいます。

『「今どきの若者」のリアル』山田 昌弘編著(PHP研究所)

『白熱』 結城信孝 編 


私の本棚 133

    出版社:ハヤカワ文庫

競馬をテーマにした短篇集。厩舎を舞台にした作品や、騎手を主人公にした物語、馬券を中心としたストーリーなど、
戦前から1980年代までに発表された8つの小説が収められています。

清水ひろしからの手紙 105


清水ひろしからの手紙 105清水ひろしからの手紙 105

  • 「何の数字?」68.4%
    (今年度の荒川区における保育サービス利用率。)
  • 新型コロナワクチン接種、65歳以上は全額助成 75歳以上はインフルエンザワクチンも無料
  • 小児インフルエンザワクチンの接種助成 今年度は全ての中学生までに拡充
  • 令和5年度決算 予算に対する不用率は8.9%
  • 南千住駅に図書返却ポスト設置

『大人の発達障害診療科』 加藤進昌 著


私の本棚 132

    出版社:プレジデント社

〇発達障害は、生まれつき脳の一部の機能に障害があることが原因で発症するものであり「子どものときから抱えている障害」と言える。親の育て方や養育環境、仕事や生活上のストレスが原因で発達障害を発症することはない。いわゆる「心の病」とは全く異なる。

〇2007年から特別支援教育が導入され、2012年文科省調査によると、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す子ども、すなわち発達障害の傾向が疑われる子どもは6.5%、2022年の調査では8.8%であり、小中学生の80万人に相当する。

〇受診者の半数以上が実際には障害ではない。その背景には、①発達障害の人が増えたというよりも、親や教師の理解が進んだことによって疑いをもつ人が増えたこと ②一方で、社会になじめない人、人とうまくコミュニケーションがとれない人が相当数おり、日々悩んでいるという実態がある。
また、子どもの診察にきた母親が、発達障害の傾向をもっていることに気づくことがあり、母親も生きづらさを感じてきたことが推察される。

〇発達障害の子どもの適切な養育環境、大切なことは二つにつきる。
1 特性を認め、受け入れて、その特性を変えようとしないこと
2 得意なこと、好きなことを見つけ出し、それに没頭できる機会を与え、その能力を伸ばしてあげられるようなサポートをすること
つまり、発達障害の本人を変えるのではなく周りがあわせること、である。社会不適応がなくなれば、発達障害の人が社会参加しやすくなる。

〇昭和医大烏山病院などで取り組んでいる発達障害専門のデイケア・ショートケアプログラムでは、同じ障害や疾患をもつ人同士が対等な関係でコミュニケーションをとり、情報交換をしたり、相談し合ったりすることで、お互いを支え合う援助法「ピアサポート」を行っている。ASDの人にはピアサポートが非常に効果的であり、彼らにとって安心できる「居場所」となっている。

〇高い能力やスキルを発揮できるにもかかわらず、障害者枠で雇用されている場合は非常に低い給与になっている。都合よく利用されてしまってはならず、ASDの人が障害者ではなく納税者として社会で生きることができるようになることを願っている。

〇ASDの代表されるような、でこぼこの激しい人も社会で受け入れ、支援しながら活躍してもらおうという、ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人材を受け入れ尊重し、相互に機能している状態)の考え方が広まりつつある。
でこぼこをならそうとするのではなく、得意なこと、本人が好きなことを伸ばそうとする教育は、定型発達の人にとっても望ましいものであり、ASDを含む発達障害の人にとって生きやすい社会は、定型発達の人にとっても生きやすい社会である。

『小説8050』林 真理子 著


私の本棚 131

    出版社:新潮文庫

80代の親が50代の子どもの生活を支えている家族の状態、その背景には、すでに大人になっている子どものひきこもりがある。親は子どものひきこもりを世間に知られないよに暮らし、親が子どもを殺めた事件も発生しています。

中学校のときに不登校になった翔太は、以後7年間ひきこもりになっている。結婚を決めた姉の由依は、その翔太のために結婚が出来ないと両親に訴える。夫婦、親子間に亀裂が生じ家族関係が壊れ始めていく。そんななか、翔太が不登校になった原因が中学校時代のいじめにあると知り、父親が行動を起こしていきます。

林 真理子『小説8050』(新潮文庫刊)

『世帯年収1000万円 -「勝ち組」家庭の残酷な真実 -』 加藤梨里 著


私の本棚 130

    出版社:新潮新書

当事者以外から見れば経済的にゆとりがありそうでも、税と社会保険料の負担増、不動産価格の高騰、物価上昇、教育競争の激化等によって、実はギリギリの生活に悩む隠れた貧困状態に近い家庭は予想以上に多いのではないか、と著者は分析をしています。

そして、子育てと老後のお金を両立する難しさを指摘し、年収1000万円世帯でも老後破綻は決して他人事ではなく、「勝ち組」というイメージはもはや虚像に過ぎない、と述べています。

『マンガで解決 親の認知症とお金が不安です』上大岡トメ 著


私の本棚 129

    出版社:主婦の友社

エピソードや体験談も交えて分かりやすく書かれています。

監修した医師の杉山孝博氏は、認知症は誰にでも起こること、長生きすればそのうち誰もが認知症になる、と述べています。そのうえで、認知症になった人が「安心」という感情を持てるように接することが大事であり、認知症家族がともに生きていくためのコツを次のように記しています。
1) 現在の姿を認める
2) 割り切る
3) 演技を楽しむ
4) 先手を打つ
5) オープンにする

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