『有罪、とAIは告げた』 中山七里 著
2026年6月30日

- 出版社:小学館
裁判官の過去の裁判記録を入力すると、判決を下すことが出来るAI裁判官〈法神2〉が、中国から提供された。試みとして、過去の裁判を判断させると瓜二つのものが出力された。
そんな折、18歳の少年が父親を刺殺する事件について、公判前に〈法神2〉に判決を求めた結果、死刑と下される。それを知った実際の裁判官、裁判員はどんな判断をするのか。
AIについて、登場人物たちが次のように評価しています。
「過去のデータに準拠しているので、新しい概念を生成はできない。分析や再構築ができても創造ができない」
「人は新しい概念を生み出せるが、AIがまだそのレベルに到達していない」
「常態性、同一のパフォーマンスを求めるならば、ヒトよりもソフトのほうが優位」
「AIがスキルを上げれば上げるほど、ヒトは遂には考えることさえ放棄するようになる」
そして、AIは事務作業効率化までなのか、判断まで導入するのかについて、以下のように投げかけています。
「判断に迷って、先に法神の判例文を読んでから自分の意思を確かめる、つまり、カンニングのような真似をするようになった場合、俺の自主性は保たれていると言えるのでしょうか?」
「いくらAIが高性能であろうと、いくら自分の人格と瓜二つであろうと、裁判官は悩むことから逃げてはいけないと思うのです。裁く側も裁かれる側と同等に足掻き煩悶する。被害者の無念に寄り添い、被告人の心情を理解する。そういうプロセスを経てこそ人が人を裁くという傲慢の免罪符になり得るのだ」
小説としてはAI判決というより冤罪?という気もしましたが、将来、われわれはどうAIを使っていくのか、使われてしまうのか、考えさせられる一冊です。