『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 三宅香帆 著
2025年8月18日
- 出版社:集英社新書
「そもそも本が読めない働き方が普通とされている社会って、おかしくない!?」
就職をしたことによって、好きな読書が出来なくなった生活に著者自身が疑問をもち、どうすれば「労働」と「文化」を両立出来るのか、日本の働き方について示しています。
読書とは、自分から遠く離れた文脈に触れること、と定義し、映画「花束みたいな恋をした」の主人公二人の生活を引用しながら、本を読むことは働くことのノイズになる、読書のノイズ性こそが90年代以降の労働と読書の関係であったと指摘しています。
しかし著者は、私たちはノイズ性を完全に除去した情報だけを生きるのは無理だ、と述べています。
だからこそ、働いていても本を読む余裕のある「半身で働く」ことが当たり前の社会をつくろうと提言しています。
日本に溢れている、「全身全霊」を信仰し、「無理して頑張った」を美談とする社会をやめ、仕事に限らず「半身こそ理想」だ、とみんなで声をあげよう、と訴えています。
読後、映画「花束みたいな恋をした」を鑑賞しました。