『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』 福田ますみ 著
2025年9月2日
- 出版社:新潮文庫
ドキュメンタリー作品。「殺人教師」としてマスコミにも叩かれ、停職6か月の処分を受けた小学校教師。しかし、民事裁判を通して、全く事実に反する真相が明らかになる。
著者は次のように述べています。
子供は善、教師は悪という単純な二元論的に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、軽い体罰でもすぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜吞みにして、かわいそうな被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そして、クレーマーと化した保護者。結局、彼らが寄ってたかってこの教師を「史上最悪の殺人教師」にでっちあげたというのが真相だろう。バイアスのかかった一方的な情報が人々を思考停止に陥らせ、集団ヒステリーを煽った挙句、無辜の人間を血祭りに上げたのである。
その後、冤罪として教育委員会による教師の処分はすべて取り消された。
この事件から20年以上が経過をしたが、冤罪や、真偽不明な情報に騒ぐような状況は、個人がSNSで発信する時代になり、むしろその怖さは広がったと言えるのではないでしょうか。
福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫刊)