『薩摩燃ゆ』安部龍太郎

私の本棚 40


      出版社:小学館文庫
       
      明治維新の中心となった薩摩藩。江戸時代末期の薩摩藩家臣の調所広郷を描いた小説。
      「莫大な借金を抱えた藩財政を立て直し、幕政の改革の先頭に立つ。そして開国を実現し、欧米諸国と対等に渡り合っていける国を築く」という藩主重豪の思いのため、私利私欲を捨て、債券整理や密貿易、贋金作りなどを引き受けて取り組む。
      藩主交代騒動に巻き込まれ、汚名を一身に背負い命を絶つ。

      時代が大きく変わるということは、その裏に多くの犠牲があることも思わされる。しかし、明治維新が成り、日本が近代国家へ歩むことが出来たのは、西郷隆盛や大久保利通の前に、その礎を築いた調所広郷がいたからに他ならない。