『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 加藤 陽子 著


私の本棚 64

      出版社:朝日出版社

    高校生に行った近現代史の講義をまとめた一冊。教科書だけでは分からない、その時その時に各国及び各人はどう考えていたのかを教えています。

    アメリカ人歴史家 アーネスト・メイの主張3点を紹介しています。
    (1) 外交政策形成者は、歴史が教えたり予告したりしていると自ら信じているものの影響をよく受ける。
    (2) 外交政策形成者は、通常歴史を誤用する。
    (3) 外交政策形成者は、そのつもりになれば、歴史を選択して用いることができる。

    そのうえで著者は、人々は重要な決定をするときに、自ら知っている範囲の過去の出来事を、自らが解釈した範囲で、今回の問題と一致しているか見つけ出す作業をしている。よって、結果的に正しい決定を下せる可能性が高い人というのは、広い範囲の過去の出来事が、真実に近い解釈に関連づけられて、より多く頭に入っている人だ、と述べています。

    「おわりに」では「類推され想起され対比される歴史的な事例が、若い人の頭や心にどれだけ豊かに蓄積されファイリングされているかどうかが決定的に大事なことだ」と結んでいます。