『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち1~5』 宮口幸治著 佐々木昭后作画


私の本棚 97


出版社:扶桑社
宮口幸治氏は「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)の著者。

知的障害まではいかないものの、一定の支援が必要な「境界知能」に該当する人たちは人口の約14%いるとされています。勉強や運動、コミュニケーションが苦手、やる気がない、さぼっているという誤解を受けています。また、感情面や行動面で何らかしらの課題があるものの、原因や状態がわかりにくい「グレーゾーン」の人たち。

この子たちの出すサインは気づかれにくく、「厄介な子」「不真面目な子」として捉えられることも多々あるため、そういったサインを見逃さず、いかにキャッチして支援していくかを目的に、本書は執筆されています。

支援してあげたのだから期待に応えて当然、期待を裏切る奴は許せない、というのは支援者のエゴであり、頑張れない少年だからこそ、期待を裏切る少年だからこそ、逆に支援がいるのだと訴えています。

この漫画について著者は、自著「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)が正しく理解されていない声があることに文章の限界を感じ、漫画化により、明らかに文章よりわかりやすく、楽しく意図を的確に伝えてもらえていると述べ、教育系の一般書については「これから漫画が主流になるかもしれない」とも記しています。