Author Archives: kogakusha

『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』 桂幹 著


私の本棚 148

    出版社:集英社新書

著者の父親はシャープ元副社長、自身はTDK社員としてリストラにあう。
そんな親子の実体験から、日本の電機産業が凋落した原因として「五つの大罪」を挙げている。
1) 誤認の罪
2) 慢心の罪
3) 困窮の罪
4) 半端の罪
5) 欠落の罪
そのうえで、議論を避けないこと、ダイバーシティを高めること、エンゲージメントを向上させること等を提言している。

『「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札』 高橋 真樹 著 


私の本棚 147

    出版社:集英社新書

日本の住宅は、国際的な断熱基準をまったく満たしていない。そのことによる健康被害や、光熱費が高くつくという経済的な損失が生じている。そして、それは環境問題やエネルギー安全保障の面からも大きな損失だ、と著者は指摘しています。
事例や効果、学校等の公共施設における取組みを示したうえで、これからの住宅は断熱等級6以上、気密性能C価1.0以下が必須だと述べています。

清水ひろしからの手紙 107


清水ひろしからの手紙 106清水ひろしからの手紙 107

  • 「何の数字?」922,700冊
    (荒川区立図書館の蔵書数(令和6(2024)年3/31現在))
  • 令和7(2025)年度の主な新規事業 
    ―学校教材及び修学旅行費、小児・高齢者インフルエンザ予防接種 無償化へ―
  • 区立幼稚園3園が閉園
  • 道路の空洞緊急点検を実施
  • 新年度予算概要 ―基金・区債は減少―

『ブルーマリッジ』 カツセマサヒコ 著


私の本棚 146

    出版社:新潮社

テーマは「無自覚な加害」
主人公は同じ会社に勤める二人。大学生時代から付き合っている同棲相手にプロポーズをする雨宮守と、妻から離婚を迫られ、社内ではパワハラで通報される土方剛。人事部の雨宮が営業部の土方を事情聴取する。

雨宮が婚約者にしてきた言動、大学時代に同じサークルの女性に行った仕打ち、土方の妻を全く顧みない生活、部下への指導という名の行為。二人の男性は無自覚に女性を傷つけ、忘却している。

上司である人事部長が雨宮に次のようの言うシーンがあります。
「今思えばあれは相手を傷つける発言だった、と後から気付くものもありますし、今もまだ自覚できない加害も、きっとあると思います。前にも話したと思いますが、そもそも僕はこの国に男性として生まれて、異性愛者である時点で、無自覚なところでたくさんの特権を持って生きているんですよね。それを当たり前のように行使するたび、誰かを傷つけているんじゃないか、と考えれば、もうこの社会で男性として生きることは、それだけで加害性を帯びている、ということとほぼイコールなんじゃないか」

雨宮は婚約者から過去の話をされ、「過去は捨てられない。拭えない。加害の過去がある自分には、その過去を棚に上げてまでして、声高に善や正義を叫ぶ権利もない。それでも、みんなで声を上げていかないと、たぶん男は、この男性中心社会は、変われない」と思いはじめていきます。

『うちの父が運転をやめません』 垣谷 美雨 著


私の本棚 145

    出版社:角川文庫

高齢ドライバーによる事故のニュースを見て、故郷に住む78歳の父親のことが気になった主人公の猪狩雅志。
父親に免許返納を迫るものの反発にあう。両親をはじめ車なしでは生活が難しい田舎の実情、サラリーマン人生のこの先に不安を覚える主人公、農業の道に進みたいと考える高校生息子の息吹。雅志は会社勤めを辞めて両親の暮らす故郷に戻り、移動スーパーの運転手として働きはじめ、そこに暮らす住民のために役立っていることに充実を感じはじめる。

小説の中で息吹は「誰もがいつかは高齢者になることを、みんなが気づくべきだ」と言い、解説では国際政治学者の岩間陽子氏が「リセットすべきは価値観だ。未来像だ。私たちの幸せは何か?どこへ向かって走っているの?一体どんな暮らしがしたいの?と問うべきなのだ」と述べています。

『訂正する力』 東浩紀 著


私の本棚 144

    出版社:朝日新書

「じつは・・・だった」という「訂正する力」は、現状を守りながら変えていく力のことであり、過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力だ、と著者は説明しています。そして、ルールを変に解釈する人間が出てきた際にも、この力がないとものごとは続かなくなる、と述べています。

そのうえで、歴史記述についても、過去を訂正しながらゆっくりとまえに進んでいくことが大事だ、と記しています。

また、ゼロかイチか、過去を否定するか肯定するか、リセットするかなにも変えないかの対立の議論になってしまう、日本の風土を変えなければならないとも訴えています。

『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』 監修 梅永雄二 / 『大学生の発達障害』 監修 佐々木正美・梅永雄二


私の本棚 143

    出版社:講談社

発達障害は特性であって、正しい理解が不足しているために障害となる。まずは、本人とまわりの人が特性を理解することがなにより大切である。そして、特性による困難を自分の力だけで克服していくことは難しいため、支援を受けることを勧めています。また、発達障害の人の働きづらさは、仕事そのものよりも日常生活や対人関係などから引き起こされている場合が多い、とも述べています。

イラストや図解を使って、就労サポートや企業側のとりくみ方、大学側の対応の仕方などが示されています。

『Z世代化する社会』 舟津 昌平 著


私の本棚 142

    出版社:東洋経済新報社

不満ではなく不安を抱えている、周りに囚われ何をするにも横をみる、怒られることがなくなった・・・。
若者のこうした背景にはオトナの事情があることを、筆者は指摘しています。

そのうえで、これら「イマドキの若者」は時代を反映したものであり、Z世代の異様さは先取りしているのであり、いずれどの世代もそうなっていく、つまり、われわれの生きる社会そのものの写像だ、と述べています。

『発達障害の人が見ている世界』 岩瀬 利郎 著 


私の本棚 141

    出版社:アスコム

発達障害の人たちのさまざまな言動の事例を、イラストを使いながら分かりやすく説明しています。
そして、精神科医である著者は以下のように述べています。

〇日本ではおおよそ20人に1人がADHD(注意欠如・多動症)、100人に1人がASD(自閉スペクトラム症)と言われているが、発達障害とは病気や性格ではなく脳機能の特性であり、本人の努力だけでその言動を改めることは難しい。

〇発達障害の特性を持つ人と、定型発達の人とでは、物事の受け止め方、感じ方が、かなり異なる。したがって、まず何より本人と周囲の人々が、特性によって起こってしまっていることだと理解をし、そのうえで、適切なコミュニケーションをとること、環境を整えてあげることが大切。無理に変わらせるのではなく、本人たちができること、得意なことを伸ばし、苦手なことはカバーしてあげる対応が必要。特性を上手に引き出せれば、定型発達の人と同等もしくはそれ以上の能力を発揮する、大きな可能性を秘めた人たちです。

〇ASD、ADHDに共通して注意が必要なのが、精神疾患を併発してしまう二次障害(パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、うつ病、双極性障害、睡眠障害、パーソナリティ障害、愛着障害、依存症、摂食障害など)。

『私の実家が売れません!』 高殿円 著


私の本棚 140

    出版社:エクスナレッジ

親が亡くなった後の誰も住んでいない実家の空き家は、社会問題の一つになっています。

郊外にある築75年のボロ戸建て空き家、再建築不可物件という実家を自ら売った経験を、ユーモアを交えて綴ったエッセイ。著者は「実家じまい」は気持ちの問題、結局人間のメンタルの問題が大きいとも記しています。

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