Author Archives: kogakusha
『「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札』 高橋 真樹 著
清水ひろしからの手紙 107
『ブルーマリッジ』 カツセマサヒコ 著
- 出版社:新潮社
テーマは「無自覚な加害」
主人公は同じ会社に勤める二人。大学生時代から付き合っている同棲相手にプロポーズをする雨宮守と、妻から離婚を迫られ、社内ではパワハラで通報される土方剛。人事部の雨宮が営業部の土方を事情聴取する。
雨宮が婚約者にしてきた言動、大学時代に同じサークルの女性に行った仕打ち、土方の妻を全く顧みない生活、部下への指導という名の行為。二人の男性は無自覚に女性を傷つけ、忘却している。
上司である人事部長が雨宮に次のようの言うシーンがあります。
「今思えばあれは相手を傷つける発言だった、と後から気付くものもありますし、今もまだ自覚できない加害も、きっとあると思います。前にも話したと思いますが、そもそも僕はこの国に男性として生まれて、異性愛者である時点で、無自覚なところでたくさんの特権を持って生きているんですよね。それを当たり前のように行使するたび、誰かを傷つけているんじゃないか、と考えれば、もうこの社会で男性として生きることは、それだけで加害性を帯びている、ということとほぼイコールなんじゃないか」
雨宮は婚約者から過去の話をされ、「過去は捨てられない。拭えない。加害の過去がある自分には、その過去を棚に上げてまでして、声高に善や正義を叫ぶ権利もない。それでも、みんなで声を上げていかないと、たぶん男は、この男性中心社会は、変われない」と思いはじめていきます。
『うちの父が運転をやめません』 垣谷 美雨 著
- 出版社:角川文庫
高齢ドライバーによる事故のニュースを見て、故郷に住む78歳の父親のことが気になった主人公の猪狩雅志。
父親に免許返納を迫るものの反発にあう。両親をはじめ車なしでは生活が難しい田舎の実情、サラリーマン人生のこの先に不安を覚える主人公、農業の道に進みたいと考える高校生息子の息吹。雅志は会社勤めを辞めて両親の暮らす故郷に戻り、移動スーパーの運転手として働きはじめ、そこに暮らす住民のために役立っていることに充実を感じはじめる。
小説の中で息吹は「誰もがいつかは高齢者になることを、みんなが気づくべきだ」と言い、解説では国際政治学者の岩間陽子氏が「リセットすべきは価値観だ。未来像だ。私たちの幸せは何か?どこへ向かって走っているの?一体どんな暮らしがしたいの?と問うべきなのだ」と述べています。
『訂正する力』 東浩紀 著
『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』 監修 梅永雄二 / 『大学生の発達障害』 監修 佐々木正美・梅永雄二
『Z世代化する社会』 舟津 昌平 著
『発達障害の人が見ている世界』 岩瀬 利郎 著
- 出版社:アスコム
発達障害の人たちのさまざまな言動の事例を、イラストを使いながら分かりやすく説明しています。
そして、精神科医である著者は以下のように述べています。
〇日本ではおおよそ20人に1人がADHD(注意欠如・多動症)、100人に1人がASD(自閉スペクトラム症)と言われているが、発達障害とは病気や性格ではなく脳機能の特性であり、本人の努力だけでその言動を改めることは難しい。
〇発達障害の特性を持つ人と、定型発達の人とでは、物事の受け止め方、感じ方が、かなり異なる。したがって、まず何より本人と周囲の人々が、特性によって起こってしまっていることだと理解をし、そのうえで、適切なコミュニケーションをとること、環境を整えてあげることが大切。無理に変わらせるのではなく、本人たちができること、得意なことを伸ばし、苦手なことはカバーしてあげる対応が必要。特性を上手に引き出せれば、定型発達の人と同等もしくはそれ以上の能力を発揮する、大きな可能性を秘めた人たちです。
〇ASD、ADHDに共通して注意が必要なのが、精神疾患を併発してしまう二次障害(パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、うつ病、双極性障害、睡眠障害、パーソナリティ障害、愛着障害、依存症、摂食障害など)。