『発達障害の人が見ている世界』 岩瀬 利郎 著 


私の本棚 141

    出版社:アスコム

発達障害の人たちのさまざまな言動の事例を、イラストを使いながら分かりやすく説明しています。
そして、精神科医である著者は以下のように述べています。

〇日本ではおおよそ20人に1人がADHD(注意欠如・多動症)、100人に1人がASD(自閉スペクトラム症)と言われているが、発達障害とは病気や性格ではなく脳機能の特性であり、本人の努力だけでその言動を改めることは難しい。

〇発達障害の特性を持つ人と、定型発達の人とでは、物事の受け止め方、感じ方が、かなり異なる。したがって、まず何より本人と周囲の人々が、特性によって起こってしまっていることだと理解をし、そのうえで、適切なコミュニケーションをとること、環境を整えてあげることが大切。無理に変わらせるのではなく、本人たちができること、得意なことを伸ばし、苦手なことはカバーしてあげる対応が必要。特性を上手に引き出せれば、定型発達の人と同等もしくはそれ以上の能力を発揮する、大きな可能性を秘めた人たちです。

〇ASD、ADHDに共通して注意が必要なのが、精神疾患を併発してしまう二次障害(パニック障害、強迫性障害、社交不安障害、うつ病、双極性障害、睡眠障害、パーソナリティ障害、愛着障害、依存症、摂食障害など)。