『うちの父が運転をやめません』 垣谷 美雨 著


私の本棚 145

    出版社:角川文庫

高齢ドライバーによる事故のニュースを見て、故郷に住む78歳の父親のことが気になった主人公の猪狩雅志。
父親に免許返納を迫るものの反発にあう。両親をはじめ車なしでは生活が難しい田舎の実情、サラリーマン人生のこの先に不安を覚える主人公、農業の道に進みたいと考える高校生息子の息吹。雅志は会社勤めを辞めて両親の暮らす故郷に戻り、移動スーパーの運転手として働きはじめ、そこに暮らす住民のために役立っていることに充実を感じはじめる。

小説の中で息吹は「誰もがいつかは高齢者になることを、みんなが気づくべきだ」と言い、解説では国際政治学者の岩間陽子氏が「リセットすべきは価値観だ。未来像だ。私たちの幸せは何か?どこへ向かって走っているの?一体どんな暮らしがしたいの?と問うべきなのだ」と述べています。