『ひきこもりの真実』 林恭子 著 


私の本棚 94

      出版社:ちくま新書

    高校生で不登校になり、その後、ひきこもりで過ごした著者は、現在、ひきこもりの支援に取り組んでいます。自らの経験も踏まえ以下のように記しています。

    就労や自立は大事だが、まずは「居場所」が必要である。そこで自己肯定感を回復し、自分なりに生きていってみようと思うことのほうが先だ。

    「ひきこもり」は「生きるための手段」であり「生きるための撤退」である。
    そもそも、この社会(学校)は出て行って楽しいと思えるような社会(学校)になっているのか。不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し、問題があるのは本人ではなく、社会(学校)のほうかもしれない、という視点が必要であり、その人が、その人のままでも生きられる社会を作っていくことが大切だ。

    誰でもひきこもる可能性はある。そのときに充分休め、必要なときに助けを求められるような社会であって欲しい。それはひきこもりだけでなく、すべての人にとって生きやすい社会ではないだろうか。