私の本棚
清水ひろしが最近読んだ本をご紹介いたします。
『サラブレッドはどこへ行くのか 「引退馬」から見える日本競馬』 平林健一 著
- 出版社:NHK出版新書
サラブレッドの一生に関わるさ様々な人たちへの取材をもとにまとめられた一冊。平林氏は、引退馬の問題を扱ったドキュメンタリー映画「今日もどこかで馬は生まれる」を制作している。映画を企画した2017年から7年が経過するなか、「ウマ娘」の影響などもあり引退馬支援への動きを著者は感じている。
引退馬問題に最も責任のあるのはJRAだとし、「競馬を楽しみながら引退馬支援を行える」取組みを求めています。また、メディアには、ポジティブな情報だけでなく引退馬に関する頭数やコストなど、実情の一端を正しく発信してほしい、と述べています。
そのうえで、引退馬の現状に違和感を持つ全ての人に、どんな些細なことでもいいから自分ができることをやってみてほしい、と訴えています。
『黄金旅程』馳星周 著
『「指示通り」ができない人たち』 榎本博明 著
『母という呪縛 娘という牢獄』 齊藤 彩 著
- 出版社:講談社
2018年に起きた、滋賀県在住の看護学生(逮捕時は看護師)が母親を殺害し、死体損傷、遺棄した事件のノンフィクション。
子どものころから母親による体罰等を受け、9浪させられ大学看護学科に進学していた。
母と娘のLINEのやり取りや、著者が被告との面会や手紙のやり取りを通じてまとめられている。体罰や言葉の暴力を浴びせる母親、その母親から逃げようと家出を繰り返す娘、一方で娘と旅行をしたり、一緒にお風呂に入るような母親。
娘は裁判で「私か母のどちらかが死ななければ終わらなかったと、現在でも確信している」と述べている。
いびつな親子をまわりが察知し対応していたならば、こんな悲劇は起こらなかったのではないか、もっと早い段階で健全な生活を取り戻すことが出来たのではないか、・・・そんなことなどを思った一冊です。
『ぼくのニセモノをつくるには』 ヨシタケシンスケ 著
- 出版社:ブロンズ新社
宿題やお手伝いなどをやりたくない けんたくんは、自分の「ニセモノお手伝いロボット」を買って、全部やってもらうことを思いつきます。完璧なニセモノを目指すロボから、人となりをあれこれ質問攻めさるけんたくんは、「自分とは?」と自問していきます。
著者が読者に伝えたかったのは、けんたくんが言っている以下のことだと思います。
ぼくはひとりしかいない。
おばあちゃんが いってたけど にんげんは ひとりひとり かたちがちがう 木のようなものらしい。
じぶんの木の 「しゅるい」は うまれつきだから えらべないけれど それを どうやって そだてて かざりつけするかは じぶんで きめられるんだって。
木の おおきさとかは どうでもよくて じぶんの木を 気にいってるかどうかが いちばん だいじらしい。