Author Archives: kogakusha
『デモクラシーのいろは』 森絵都 著

- 出版社:角川書店
舞台は終戦直後、GHQは元子爵の邸宅に四人の女性を集め、民主主義を学ぶための実験を行った。半年間、一緒に寝泊まりをして、先生役である日系二世のリュウ・サクラギから授業を受ける。「民主主義の基本は、自分自身で考えた物語を生きることです」と。
物語の下地として、戦争が若い世代から奪ったものや負わせた傷、「同じ戦争」であっても失くしたものは人それぞれ異なるという現実があります。また、戦後の混沌とした社会や孤児の状況も描写されています。
出自も性格も異なる個性ある女性たちは、共同生活を通して結びついていき、また、先生との関係も変化をしていきます。そして、ある目的に向かって企てていきます。
物語のなかで起きる騒動などはコミカルにも描かれており、ドラマ化しても面白い作品だと感じました。
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『デモクラシーのいろは』 森絵都 KADOKAWA/角川書店
『「数値化」中毒』小塩真司 著

- 出版社:PHP研究所
現代社会は、どのようなものであれ数値化することが良いのだ、という「測りすぎ病」「測定の過剰信仰」「測定依存主義」にあります。その結果、数値を追うことが目的になっており、測定された数値にとらわれ、「測定されたものだけに価値がある」「数値に表せないものは存在しない」という価値観や発想が広がっています。
そんな社会で暮らす私たちは「測りすぎ」によって苦しんでいます。測定や数値、そして統計的な法則は、現実を理解する上でかかせない道具ですが、それを使う私たちの意識のあり方によっては、数値が現実を歪め、幸福を遠ざけることにもなりかねません。
そのうえで著者は、数値に支配されてはならない、とする姿勢が「測定の時代」に生きる知恵だ、と述べています。
〇グッドハートの法則:ある指標が目的となると、それはもはや良い指標ではなくなる、という原理。人々はその指標を最大化すること自体に集中し、もともとの目的や価値を忘れてしまう傾向がある。
〇キャンベルの法則:測定がもたらす社会的な腐敗の問題。指標が重要視されればされるほど、その指標のために不正行為や歪んだ行動を引き起こし、社会的プロセス・制度を腐敗させる傾向が強まる。
『女の国会』 新川帆立 著
『架空犯』 東野圭吾 著
『ホテルうらうら 汐待ちのとき』 十三 湊 著

- 出版社:角川文庫
広島県福山市にある鞆の浦は、古くから「風待ちの港」「潮待ちの港」と呼ばれてきた場所。そこにある「ホテルうらうら 汐待ちの宿」を舞台にした連作短編集。
恋人のこと、旧友とのこと、娘のことに悩む女性の宿泊者たち。彼女たちは、ホテルのオーナーである御手洗の占いと、スタッフ女性の倉石からの接客を受けることによって、抱えた荷物を少しだけ降ろせるようになる。
「まだ起こってもいないことで悩まない」
「自分に変えられないことで悩まない」
「もともとちがうものなのだから、わかりあえるはずもない」
「生きていると、人の意思ではどうしようもない流れがあり、決して交わることのない流れもある。たった一度の大きなよい波にも、そのときにはそれを気づけず、乗ることができない。本当に、ままならないことばかりだけれど、そういうものだと今は思っている。波にうまく乗れなかったとしても、それはそれで仕方ない。その失敗を糧に、少しだけ賢くなった自分が、次にやってくる波に乗ればいい」
流されてしまうのと、流れに身を任せるのは違う。肩肘張らず、流れに身を任せるときがあってもいい、と著者は言っているような気がします。
『有罪、とAIは告げた』 中山七里 著

- 出版社:小学館
裁判官の過去の裁判記録を入力すると、判決を下すことが出来るAI裁判官〈法神2〉が、中国から提供された。試みとして、過去の裁判を判断させると瓜二つのものが出力された。
そんな折、18歳の少年が父親を刺殺する事件について、公判前に〈法神2〉に判決を求めた結果、死刑と下される。それを知った実際の裁判官、裁判員はどんな判断をするのか。
AIについて、登場人物たちが次のように評価しています。
「過去のデータに準拠しているので、新しい概念を生成はできない。分析や再構築ができても創造ができない」
「人は新しい概念を生み出せるが、AIがまだそのレベルに到達していない」
「常態性、同一のパフォーマンスを求めるならば、ヒトよりもソフトのほうが優位」
「AIがスキルを上げれば上げるほど、ヒトは遂には考えることさえ放棄するようになる」
そして、AIは事務作業効率化までなのか、判断まで導入するのかについて、以下のように投げかけています。
「判断に迷って、先に法神の判例文を読んでから自分の意思を確かめる、つまり、カンニングのような真似をするようになった場合、俺の自主性は保たれていると言えるのでしょうか?」
「いくらAIが高性能であろうと、いくら自分の人格と瓜二つであろうと、裁判官は悩むことから逃げてはいけないと思うのです。裁く側も裁かれる側と同等に足掻き煩悶する。被害者の無念に寄り添い、被告人の心情を理解する。そういうプロセスを経てこそ人が人を裁くという傲慢の免罪符になり得るのだ」
小説としてはAI判決というより冤罪?という気もしましたが、将来、われわれはどうAIを使っていくのか、使われてしまうのか、考えさせられる一冊です。
『会社は「本」で強くなる マネーフォワード 全社で取り組む「読書経営」』宮本恵理子 著

- 出版社:日本経済新聞社出版
(株)マネーフォワードの組織文化として息づく読書について、グループCEOの辻庸介氏や、社員への取材をもとに書かれた一冊。
成長する企業の中で、読書がどのように活用され、文化として定着してきたのかをひもといています。
辻氏は、読書によって問いを育てることが、正解のない時代を生き抜く企業にとって欠かせない力であり、読書とは「経営における基礎体力」「問いの生成装置」「思考の土壌」だと述べています。ここでいう読書とは、単なる個人の教養や自己啓発ではなく、「問いを持ち、本を読み、実践し、対話する」という営みのことです。
(株)マネーフォワードには、「実行する」という経営にとって必要なことが、読書からのサイクルとして定着しています。
清水ひろしからの手紙 111

清水ひろしからの手紙 110