私の本棚
清水ひろしが最近読んだ本をご紹介いたします。
『マンガでわかる 日本経済入門』 中野 剛志
『キャプテンマークと銭湯と』 佐藤いつ子
- 出版社:KADOKAWA
地域のクラブサッカーチームに所属する中学生の話。お山の大将を気取って「オレ様」プレーでキャプテンをはずされた主人公の周斗。強豪チームから新たに加入した新しいキャプテンの大地。
いら立ちを抱えた主人公は、生前の祖父と行った銭湯を見つける。そこでの出会いを通して、大地に対しての敗北感から主人公も少しずつ成長していく。
主人公は、努力を続ける若い左官職人の比呂と銭湯で知り合います。その、比呂のことばを記しておきます。
「ポジティブな言葉で考えたり言ったりする癖をつけると、必ず物事がポジティブに回り出すんだよ」
「自分の中のてっぺんを目指す。自分が出来ることの最高っていうのかな。そう、自己ベストだな。自分のてっぺんを目指すし、そのてっぺんを可能な限り、もっともっと上げていくってことだ。」
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『キャプテンマークと銭湯と』作:佐藤 いつ子、絵:佐藤 真紀子 KADOKAWA
『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ
『検証ブラックアウト 北海道胆振東部地震』 北海道新聞社
- 出版社:北海道新聞社
2018年9月6日午前3時7分に発生した北海道胆振東部地震に伴い、北海道全域がブラックアウトに陥った。その時に起こった事象をとりまとめた一冊です。
電気がなければ、信号も消える、携帯電話の充電が出来ない、コンビニでも電子決済が使えない、緊急通報システムが作動しない、患者の人工呼吸器装置が動かなくなる・・・ さまざまな影響がでます。
電源集中の課題、広い供給網、電力小売り自由化、風力・太陽光、液化天然ガス(LNG)などのエネルギー源、等についても書かれています。
この他にも、ネットで流れるデマ情報、災害協定が機能しない状況、心理的ケア等、地震による様々な影響や被害の実態が分かります。
あとがきには、「災害は平時から弱い立場にある人をさらに困難な状況に追い込む」と記されています。
『行動経済学の使い方』 大竹文雄
『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ 』こまつ あやこ
- 出版社:講談社
娘(小6)の夏休みの宿題、「親子読書」の一冊に読みました。
主人公は中学2年生の花岡沙弥、マレーシアからの帰国子女。クラスに溶け込もうと、人とちがうことを怖がって、周りにどう見られるかばかり気にしている。ある日、転校生の佐藤先輩から誘われ、一緒に短歌を詠むことになる。これをきっかけに、多民族国家マレーシアでの暮らしを思い出し、ちがいに対して自分を曲げて合わせるのではなく、自分が素直に生きられる居場所をみつける沙弥の気持ちが描かれている。
佐藤先輩、主人公の気持ちが以下のように表現されています。
「歌会に行ったら、いろんな人に会えるの。教室だけがすべてじゃないって思える。私はそれに救われたの。」「教室でたまたま毎日一緒に過ごすことになった同い年の人とうまくいかなくても、それがわたしのすべてじゃない、落ち込むことはないんだって思えたの。」「ほんの少しでも私自身を見てくれる人がいてくれればそれでいい。それ以外の人に、どう思われるかを気にしすぎていた。」
『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』 鴻上 尚史
『論理的思考力を鍛える33の思考実験』北村良子
『薩摩燃ゆ』安部龍太郎
- 出版社:小学館文庫
明治維新の中心となった薩摩藩。江戸時代末期の薩摩藩家臣の調所広郷を描いた小説。
「莫大な借金を抱えた藩財政を立て直し、幕政の改革の先頭に立つ。そして開国を実現し、欧米諸国と対等に渡り合っていける国を築く」という藩主重豪の思いのため、私利私欲を捨て、債券整理や密貿易、贋金作りなどを引き受けて取り組む。
藩主交代騒動に巻き込まれ、汚名を一身に背負い命を絶つ。
時代が大きく変わるということは、その裏に多くの犠牲があることも思わされる。しかし、明治維新が成り、日本が近代国家へ歩むことが出来たのは、西郷隆盛や大久保利通の前に、その礎を築いた調所広郷がいたからに他ならない。