私の本棚
清水ひろしが最近読んだ本をご紹介いたします。
『スマホを捨てたい子どもたち 野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』山極寿一
- 出版社:ポプラ新書
スマホによって生活は便利にり、世界中の人とも連絡をとることが出来る。
しかし、本当にプラスの面だけなのか、と著者は述べています。
人間が信頼関係を保てるのは150人が限度であることや、スマホの世界が第一になってしまうこと、また、文字≠対話のため、文字による連絡は誤解を生みやすいことなどを指摘しています。さらに、仲間へ過剰に求めるがゆえに起きている不幸な事件も多いことも挙げています。
そのうえで、生の世界を直観力で切り抜ける能力(必ずしも正解を導き出す必要はなく、不正解でなければいいということ)を鍛えることが大事であるとし、そのためには現実の世界と身体を使ったリアルな付き合いをする必要があると記しています。そして、仲間と一緒に過ごすことが人間の幸福につながることは、新型コロナウイルス感染症が過ぎ去ったあとも変わらないと結んでます。
引用元
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『スマホを捨てたい子どもたち
野生に学ぶ「未知の時代」の生き方』(ポプラ社刊)
著/山極 寿一
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『女子校礼讃』辛酸なめ子
- 出版社:中公新書ラクレ
著者は女子校(女子学院)出身者。
学校や生徒への取材等による女子校の慣習や生徒の実情が、学生の時の思い出とともに、率直な感想とユニークな視点で記されています。御三家や大学付属など含め20校以上が登場し、文化祭や学校説明会だけでは分からない各校のカラーも知ることができます。
私も男子校で楽しい中高6年間を過ごしました。今でも良かったと思っています。
著者が自身のエピソードとして早弁をあげています。「今思えば、あえて授業中に食べる必要性はどこにもなかったです。ただスリルを楽しみたかったのだと思います・・・。」
・・・分かる気がします。
別学、共学それぞれ良さがありますが、著者が述べている「あの6年間が生命力の源泉になっているように思います。」は、男子校で育った私も同じ思いです。
『首都感染』 高嶋哲夫
『ペスト』 カミュ / 『100分 de 名著 ペスト』アルベール・カミュ
『マンガでわかる 日本経済入門』 中野 剛志
『キャプテンマークと銭湯と』 佐藤いつ子
- 出版社:KADOKAWA
地域のクラブサッカーチームに所属する中学生の話。お山の大将を気取って「オレ様」プレーでキャプテンをはずされた主人公の周斗。強豪チームから新たに加入した新しいキャプテンの大地。
いら立ちを抱えた主人公は、生前の祖父と行った銭湯を見つける。そこでの出会いを通して、大地に対しての敗北感から主人公も少しずつ成長していく。
主人公は、努力を続ける若い左官職人の比呂と銭湯で知り合います。その、比呂のことばを記しておきます。
「ポジティブな言葉で考えたり言ったりする癖をつけると、必ず物事がポジティブに回り出すんだよ」
「自分の中のてっぺんを目指す。自分が出来ることの最高っていうのかな。そう、自己ベストだな。自分のてっぺんを目指すし、そのてっぺんを可能な限り、もっともっと上げていくってことだ。」
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『キャプテンマークと銭湯と』作:佐藤 いつ子、絵:佐藤 真紀子 KADOKAWA
『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ
『検証ブラックアウト 北海道胆振東部地震』 北海道新聞社
- 出版社:北海道新聞社
2018年9月6日午前3時7分に発生した北海道胆振東部地震に伴い、北海道全域がブラックアウトに陥った。その時に起こった事象をとりまとめた一冊です。
電気がなければ、信号も消える、携帯電話の充電が出来ない、コンビニでも電子決済が使えない、緊急通報システムが作動しない、患者の人工呼吸器装置が動かなくなる・・・ さまざまな影響がでます。
電源集中の課題、広い供給網、電力小売り自由化、風力・太陽光、液化天然ガス(LNG)などのエネルギー源、等についても書かれています。
この他にも、ネットで流れるデマ情報、災害協定が機能しない状況、心理的ケア等、地震による様々な影響や被害の実態が分かります。
あとがきには、「災害は平時から弱い立場にある人をさらに困難な状況に追い込む」と記されています。