『来るべき民主主義』 國分功一郎 2019年8月19日 出版社:幻冬舎 哲学者である著者は、地元の道路建設反対運動に自ら関わっていきます。この経験から、ルールを作るのは立法府だが、実際の決定は行政府にある現実を指摘しています。そして、主権=立法権と定義し、立法権によって統治するという理想に依拠し続けていることに民主主義の危機があると訴えてています。その改善のためには、議会制民主主義だけではなく、行政に関わる制度を多く整備することが必要だと説いています。
『学校の「当たり前」をやめた。』 工藤 勇一 2019年8月2日 出版社:時事通信社 学校は子どもたちが、「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためにある、としたうえで、手段が目的化してしまっていることが、学校教育の問題点であり、「当たり前」を徹底的に見直すことが大事だと述べています。
『帝国ホテル建築物語』 植松三十里 2019年6月26日 出版社:PHP研究所 1923年、アメリカ人建築家ライト設計による帝国ホテルが竣工するまでの激動の物語。細部へ徹底してこだわり、弱い地盤、火事、地震等に見舞われながら長い年月かかって完成します。関わった人たち、それぞれの思いが描写されています。 (引用) 「現場は勢いが大事だ。だが君は及び腰だ。覚悟が定まっていない。それじゃ誰もついてこない。ライトさんを信頼するなら、信じきればいい。」「そもそも何のために、支配人の仕事を引き受けたのか。どうして今の地位についたのか。もういちど考えてみるんだな」
『車輪の下 ─まんがで読破─』 ヘルマン・ヘッセ/バラエティ・アートワークス 2019年6月24日 出版社:イースト・プレス 「車輪の下じきになる」とはドイツ語のたとえで「落ちこぼれになる」という意味。 主人公少年ハンスの人生を描いています。天才少年が周囲の期待に応えるべく猛勉強をしてエリート神学校に進学。しかし、そこで別の生き方、知らない世界を知り、挫折して退学。故郷に帰り機械工として働くも、酒に酔い溺死するという物語です。 深く、重いです。勉強の目的は何なのか、生き方、過剰な期待による抑圧、子どもへの決めつけ、挫折、教育、自由・・・、考えさせられる一冊です。
『家康に訊け』 加藤廣 2019年6月10日 出版社:新潮社 信長でもなく、秀吉でもなく、家康が天下人となった3つの特性を指摘しています。 (1)前進は一歩ずつ、駆け足をしない (2)屈辱への耐性 (3)アッと驚くような行動に出る、逃げの決断の早さ また、事を為すには、天の時、地の利、人の和、そして運が必要だと著者は記しています。
『何を捨て何を残すかで人生は決まる』 本田直之 2019年5月17日 出版社:青春新書インテリジェンス 時間の使い方は (1)自己投資であるインプットの時間 (2)仕事をしているアウトプットの時間 (3)食事や睡眠などの生活の時間 (4)自由に使うプライベートの時間 の4つに分類出来る。 持っているものなどに縛られず、自己投資をしていくことで人生が決まると筆者は指摘をしています。
『18歳からの格差論』 井手英策 2019年4月2日 出版社:東洋経済新報社 (引用) 生まれた家が貧しかった、生まれたら障がいがあった、それは決してその子どもたちのせいではありません。でも、それだけの理由で、もしその子どもの一生が決まるとするならば、それは「不運」なのではありません。「理不尽」なのです。かわいそうだから助けてあげるのではない、理不尽だから闘うのです。
『弱者の戦略』 稲垣栄洋 2019年4月2日 出版社:新潮選書 ダーウィンは、「唯一生き残るのは、変化できる者である」という言葉を残しました。 この本には、弱者が生き残るための方法が書かれています。それは、ニッチを求める。悪条件で戦う。多様性とスピード。生き残るために「戦わない」。どちらに転んでも良いように、次善のオプションを用意するなど。
『分断社会を終わらせる:「だれもが受益者」という財政戦略』 井手英策•古市将人•宮﨑雅人 2019年3月5日 出版社:筑摩選書 低所得者のみを対象とするのではなく、全ての人の基礎的ニーズ、必要なものを満たすことを提唱しています。つまり、誰もが受益者となるという考え方です。
『少年H』 妹尾河童 2019年1月11日 出版社:講談社 戦争に至るまでの、少年の目を通しての日常が描かれています。 (前書きから引用) 戦争は、いきなり空襲があったり、原爆が投下されることから始まりません。何か変だな?という感じがその前にあります。でも、それはよほど注意していないと気づきません。ずーっと後になって、「そーか、あれが戦争が始まる前触れだったんだ」と知るのです。