私の本棚

清水ひろしが最近読んだ本をご紹介いたします。

日本の死角 現代ビジネス編


私の本棚 89

      出版社:講談社現代新書

    「はじめに」に、次のように記されています。
    私たちは、間違った常識や先入観のもとで問題を思考し、答えを導き出してしまうことがある。そうだとしたら、時に答えを出すよりも、私たちが見えなかった・見てこなかった「日本の死角」とも言える論点や問いを掘り下げ、再考することが重要である。

    この本は、日本人論や若者の考え方、差別、いじめといった16のテーマごとに、議論の前提、当たり前となっている点について論じています。

戦国人物伝 石田三成 コミック版 日本の歴史(23) / 復権! 400年目の真実 別冊歴史読本44 石田三成 (別冊歴史読本 44)


私の本棚 88

      出版社:ポプラ社 / KADOKAWA

    ・戦国人物伝 石田三成 コミック版 日本の歴史(23)  ポプラ社
    ・復権! 400年目の真実 別冊歴史読本44 石田三成 (別冊歴史読本 44) KADOKAWA

    忠義の将と言われる石田三成。秀吉にその能力を認められ活躍をする。兵站に優れ、中国大返しや賤ヶ岳の合戦でも功績をあげる。太閤検地は、基準ががばらばらであった尺や枡を統一した三成によるところが大きい。

    規定を示すことによる公平性や、武力ではなく訴訟解決へと先鞭をつけるなど、「筋をとおす」政治であった。三成の「負」のイメージは徳川史観的によるものと考えた方がいい。

    ただ、その正義感や忠誠心が故に、打算の時代にあっては家康に敗れることにつながったのではないか。徳川幕藩体制は、三成が作り上げたシステムを受け継ぎ、その理想を具現化した政権であったとも言える。

『たいせつなこと』 マーガレット・ワイズ・ブラウン作,レナード・ワイスガード絵,うちだ ややこ訳


私の本棚 87

      出版社:フレーベル館

    第15回柳田邦男絵本大賞受賞者が読まれた作品。
    「平凡の非凡」「あたりまえの難しさ」そんな言葉が浮かんできました。

    作品のなかから
    「そらはいつもそこにある そらにとってたいせつなのは いつもそこにあるということ」
    「あなたはあなた あなたにとってたいせつなのは あなたがあなたであること」

『絶望名言 文庫版』 飛鳥新社 頭木弘樹/NHK<ラジオ深夜便>制作班 /川野一宇/根⽥知世⼰ 著


私の本棚 86

      出版社:飛鳥新社

    ラジオ番組を書籍化した本。失恋したときに失恋ソングを聴きたくなるように、絶望したときには、絶望の言葉の方が心に沁みることがある、との思いで著者はこれまでも執筆しています。
    この本は、カフカや太宰治といった作家の文章を引用して構成されています。

    逆境に陥った人に対し、復活や別な分野での頭角といった美しいものをまわりは求めてしまうが、必ずしもそうなるとは限らない。だから、倒れたままで生きていくこともありだ、と訴えています。そして、そうしたときに役立つ命綱的なものの一つが文学や読書だと述べています。

『保育士よちよち日記』 大原綾希子


私の本棚 85

      出版社:三五館シンシャ

    著者は現役の派遣保育士。保育園における園児たちの出来事、保育士たちのやり取りなど、体験した日々のエピソードが描かれています。脚注の説明が著者の視点で面白く書かれています。

    少ない人数で子どもたちの命を預かり、数多くの業務をこなす保育士の大変さを、あらためて教えられた気がします。「育児」は「育自」とも言いますが、「私が子どもたちの育ちを支えたのと同時に、子どもたちが私を成長させてくれた」と著者は最後に記しています。

『ラッキーボーイ』 スーザン・ボウズ作 柳田邦男訳



私の本棚 84

      出版社:評論社

    先日の柳田邦男絵本大賞表彰式に出席した折に借りた絵本。
    名前さえつけてもらえず、飼主に相手もされない犬と、愛妻を亡くしたおじいさんとの出会いの物語。
    無関心や無視をされる疎外感、孤独感といった、今の社会でも抱える問題を通して、ふれ合い、心通わせて生きることの幸せが描かれています。

『そのマンション、終の住処でいいですか?』 原田ひ香


私の本棚 83

      出版社:新潮文庫

     有名建築家の設計によるデザイナーズマンション。デザイン優先によって建てられたため、雨漏りなどの欠陥が露わになり、その建替えをめぐる住人たちの物語。そして、建設に関わった者しか知らない重大な問題をこのマンションは抱えていた。

    住人や関係者たちの背景が、詳細に描かれています。

    ***
    原田ひ香『そのマンション、終の住処でいいですか?』(新潮文庫)

『砂の女』安部公房 /『100分de名著 安部公房「砂の女」』


私の本棚 82

      出版社:新潮文庫 / NHK出版

    人間は日々、砂の中でもがいているようなものなのかもしれない。
    今の状況から抜け出したい、自由になりたい、と思っている。しかし、人間は何かに帰属しなければ生きていけない。
    あるいは自分の存在意義を見つけったかったり、世の中に認めて欲しいと思っている。

    砂の中に閉じ込められた主人公の仁木順平は、偶然をきっかに、現実から逃げる必要性を感じなくなり物語は終わる。
    変化していく主人公の心理を通して、真の自由とは何なのか、真の自由などあるのか、といったことが描かれています。

    ***
    安部公房『砂の女』(新潮文庫)

『関東大震災』 吉村昭


私の本棚 81

      出版社:文春文庫

    大正12年 1923年9月1日に発生した関東大震災から来年100年となります。この作品には、火災旋風、密集によるその被害の拡大、流言等、その時何が起きたのかが詳細に記されています。

    災害時に起きる事象、人の心理状態や意識・行動といったものも踏まえた防災対策の必要性を、あらためて認識しました。

『緑内障の真実』 深作秀春


私の本棚 80

      出版社:光文社新書

    緑内障とは、原因不明だが、シンプルにいえば、「様々な原因で起こる視神経障害を含む病気の集まり症候群」であり、正しい知識が重要だ、とまず述べています。

    患者は少なくとも600万人以上、軽い患者を入れると視神経障害は1000万人以上と推測され、今後さらに増加すると言われています。早期や中期では点眼剤が重要であり、手術については、末期になる前にいい医師の手術を受けるべき、と指摘しています。

    そのうえで、100歳まで生きる現代において、緑内障によって70歳代80歳代で失明するようにならないよう、眼科外科医の重要性を訴えています。

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