Author Archives: kogakusha

『小説8050』林 真理子 著


私の本棚 131

    出版社:新潮文庫

80代の親が50代の子どもの生活を支えている家族の状態、その背景には、すでに大人になっている子どものひきこもりがある。親は子どものひきこもりを世間に知られないよに暮らし、親が子どもを殺めた事件も発生しています。

中学校のときに不登校になった翔太は、以後7年間ひきこもりになっている。結婚を決めた姉の由依は、その翔太のために結婚が出来ないと両親に訴える。夫婦、親子間に亀裂が生じ家族関係が壊れ始めていく。そんななか、翔太が不登校になった原因が中学校時代のいじめにあると知り、父親が行動を起こしていきます。

林 真理子『小説8050』(新潮文庫刊)

『世帯年収1000万円 -「勝ち組」家庭の残酷な真実 -』 加藤梨里 著


私の本棚 130

    出版社:新潮新書

当事者以外から見れば経済的にゆとりがありそうでも、税と社会保険料の負担増、不動産価格の高騰、物価上昇、教育競争の激化等によって、実はギリギリの生活に悩む隠れた貧困状態に近い家庭は予想以上に多いのではないか、と著者は分析をしています。

そして、子育てと老後のお金を両立する難しさを指摘し、年収1000万円世帯でも老後破綻は決して他人事ではなく、「勝ち組」というイメージはもはや虚像に過ぎない、と述べています。

『マンガで解決 親の認知症とお金が不安です』上大岡トメ 著


私の本棚 129

    出版社:主婦の友社

エピソードや体験談も交えて分かりやすく書かれています。

監修した医師の杉山孝博氏は、認知症は誰にでも起こること、長生きすればそのうち誰もが認知症になる、と述べています。そのうえで、認知症になった人が「安心」という感情を持てるように接することが大事であり、認知症家族がともに生きていくためのコツを次のように記しています。
1) 現在の姿を認める
2) 割り切る
3) 演技を楽しむ
4) 先手を打つ
5) オープンにする

『大人の発達障害 まるごと解決BOOK』 星野仁彦 監修 日東書院刊


私の本棚 128

    出版社:日東書院刊

発達障害は性格や病気ではなく、脳の発達がアンバランスだというハンディキャップです。大人の発達障害は、うつ病などの合併症を引き起こしやすいですが、適切な薬物療法やカウンセリングなどを受ければ、治療は十分に可能です。社会に適応して普通に生活できますし、特性を活かして社会の中で活躍することもできます。それにはまず、発達障害を正確に知ってその特性を理解しておき、周囲の人に協力してもらうことが大事です。

『「発達障害」と間違われる子どもたち』 成田 奈緒子 著


私の本棚 127

    出版社:青春新書

学校等で悩みを抱えるお子さんの多くは発達障害ではなく、診断がつかないのに症状を示している「発達障害もどき」かもしれない、と著者は述べています。

そして、「発達障害もどき」からくる行動であれば、生まれつきの脳の凹凸(発達障害)とは事情が少し違うので、子どもの暮らしを見直すことが必要だと指摘しています。

そのためには、まず親が率先して生活リズムを整えること。子ども自身を否定することなく、行動の変化を促すことが重要であり、しっかり食べて、しっかり寝る、この生活をくり返すこと。また、困ったときは誰かに相談し、危険が迫ればそこから逃げることだと訴えています。

『ルポ 高学歴発達障害』 姫野桂 著


私の本棚 126

    出版社:ちくま新書

高学歴発達障害の方は「そうは言っても、勉強ができるんだから」と、どうしても高い希望を持つ。しかし「大学ではうまくやっていけたが、社会に出た途端に挫折してしまった」というケースが起こりうる。それまで自分を形成していたアイデンティティの構成要素だった学歴が、かえって負い目になり、生きづらさになる。

現状として、高学歴の発達障害の方が持っている才能や能力、積み上げてきた学歴や自負にふさわしい働き方や社会貢献の仕方を医療や福祉が提供できているのか、とも記されています。

『発達障害「グレーゾーン」』 岡田尊司 著


私の本棚 125

    出版社:SB新書

以下のように記されています
・グレーゾーンは特有の生きづらさがあり、それは障害レベルの状態とは質的に異なる困難さだとも言える。グレーゾーンのケースには愛着や心の傷といった問題が絡んでいることが少なくない。グレーゾーンは単なる「障害未満」の状態ではなく、性質の異なる困難を抱えていることも多く、本人が味わっている苦労や大変さは、決して本来の発達障害に勝るとも劣らない。

・グレーゾーンと診断された場合、むしろ、これからの働きかけや取り組みによって大きな違いが生まれるため、しっかりサポートしていく必要がある。できるだけ早くから療育やトレーニングを行うことが、予後を改善することにつながる。

・大事なのは、障害か障害でないかを区別することでなはく、ベースにある特性をきちんと把握し、その人の強みと弱い点をきちんと理解し、適切なサポートやトレーニングにつなげていくこと。グレーゾーンと判定されるレベルでは、とくにそのことが重要になる。

・近年、発達の特性は、障害ではなくそれぞれの人がもつ脳の特性であり、ニューロダイバーシティ(神経多様性)として理解されるようになってきている。

『その「一言」が子どもの脳をダメにする』 成田奈緒子・上岡勇二 著


私の本棚 124

    出版社:SB新書

脳は繰り返し入ってくる刺激を重要なものだと判断してしまうため、親から子どもへ否定的な言葉がけはネガティブな脳を育ててしまう、と指摘しています。

そのうえで、親は生きていく上で本当に必要な家庭生活での「軸」2~3本のみを持って子育てをしていくことが、脳育てにおいて一番大切なことだ、と訴えています。
そして、生まれたときに「心配100/信頼0」だった子どもを、18歳で「心配0/信頼100」で送り出すために、言葉は「ロジカルに」「フルセンテンスで」伝え、「知恵者」として「一枚上手」に、子どもの能力をどんどん伸ばしてあげましょう、と述べています。

子どもの脳を育てる言葉がけ5か条
1) 「子どもの脳を育てる」ことを念頭に置く
2) 大人は子どもより「一枚上手」の「知恵者」になる
3) 子どもが不安になっているときには「オウム返し」
4) 中学生以上の子どもには「年上の友人」のつもりで接する
5) 子どもに話せる自分自身の経験(フィクションでもよい)をストックする

『セカンドキャリア 引退競走馬をめぐる旅』 片野ゆか 著


私の本棚 123

    出版社:集英社

日本では年間約7000頭のサラブレッドが生産されています。一方で約6000頭が競走馬としての役割を終えて引退していますが、その多くの行方は分かっていない実情があります。

角居勝彦 元JRA調教師のインタビュー記事からこの事実を知った著者が、引退競走馬に携わっている方々を訪ねたルポタージュ。

『兎は薄氷に駆ける』 貴志祐介 著


私の本棚 122

    出版社:毎日新聞出版

冤罪を題材にした小説。亡くなった父親の殺人容疑は冤罪だと信じる日高英之、彼が殺人罪で逮捕、公訴される。その裁判での検事と弁護士によるやりとりを通して話が進んでいく。
危険な薄氷の上で割れて呑み込まれるのは駆ける兎なのか、追い込んだつもりが誘い込まれた猟犬なのか。

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