私の本棚

清水ひろしが最近読んだ本をご紹介いたします。

『「発達障害」と間違われる子どもたち』 成田 奈緒子 著


私の本棚 127

    出版社:青春新書

学校等で悩みを抱えるお子さんの多くは発達障害ではなく、診断がつかないのに症状を示している「発達障害もどき」かもしれない、と著者は述べています。

そして、「発達障害もどき」からくる行動であれば、生まれつきの脳の凹凸(発達障害)とは事情が少し違うので、子どもの暮らしを見直すことが必要だと指摘しています。

そのためには、まず親が率先して生活リズムを整えること。子ども自身を否定することなく、行動の変化を促すことが重要であり、しっかり食べて、しっかり寝る、この生活をくり返すこと。また、困ったときは誰かに相談し、危険が迫ればそこから逃げることだと訴えています。

『ルポ 高学歴発達障害』 姫野桂 著


私の本棚 126

    出版社:ちくま新書

高学歴発達障害の方は「そうは言っても、勉強ができるんだから」と、どうしても高い希望を持つ。しかし「大学ではうまくやっていけたが、社会に出た途端に挫折してしまった」というケースが起こりうる。それまで自分を形成していたアイデンティティの構成要素だった学歴が、かえって負い目になり、生きづらさになる。

現状として、高学歴の発達障害の方が持っている才能や能力、積み上げてきた学歴や自負にふさわしい働き方や社会貢献の仕方を医療や福祉が提供できているのか、とも記されています。

『発達障害「グレーゾーン」』 岡田尊司 著


私の本棚 125

    出版社:SB新書

以下のように記されています
・グレーゾーンは特有の生きづらさがあり、それは障害レベルの状態とは質的に異なる困難さだとも言える。グレーゾーンのケースには愛着や心の傷といった問題が絡んでいることが少なくない。グレーゾーンは単なる「障害未満」の状態ではなく、性質の異なる困難を抱えていることも多く、本人が味わっている苦労や大変さは、決して本来の発達障害に勝るとも劣らない。

・グレーゾーンと診断された場合、むしろ、これからの働きかけや取り組みによって大きな違いが生まれるため、しっかりサポートしていく必要がある。できるだけ早くから療育やトレーニングを行うことが、予後を改善することにつながる。

・大事なのは、障害か障害でないかを区別することでなはく、ベースにある特性をきちんと把握し、その人の強みと弱い点をきちんと理解し、適切なサポートやトレーニングにつなげていくこと。グレーゾーンと判定されるレベルでは、とくにそのことが重要になる。

・近年、発達の特性は、障害ではなくそれぞれの人がもつ脳の特性であり、ニューロダイバーシティ(神経多様性)として理解されるようになってきている。

『その「一言」が子どもの脳をダメにする』 成田奈緒子・上岡勇二 著


私の本棚 124

    出版社:SB新書

脳は繰り返し入ってくる刺激を重要なものだと判断してしまうため、親から子どもへ否定的な言葉がけはネガティブな脳を育ててしまう、と指摘しています。

そのうえで、親は生きていく上で本当に必要な家庭生活での「軸」2~3本のみを持って子育てをしていくことが、脳育てにおいて一番大切なことだ、と訴えています。
そして、生まれたときに「心配100/信頼0」だった子どもを、18歳で「心配0/信頼100」で送り出すために、言葉は「ロジカルに」「フルセンテンスで」伝え、「知恵者」として「一枚上手」に、子どもの能力をどんどん伸ばしてあげましょう、と述べています。

子どもの脳を育てる言葉がけ5か条
1) 「子どもの脳を育てる」ことを念頭に置く
2) 大人は子どもより「一枚上手」の「知恵者」になる
3) 子どもが不安になっているときには「オウム返し」
4) 中学生以上の子どもには「年上の友人」のつもりで接する
5) 子どもに話せる自分自身の経験(フィクションでもよい)をストックする

『セカンドキャリア 引退競走馬をめぐる旅』 片野ゆか 著


私の本棚 123

    出版社:集英社

日本では年間約7000頭のサラブレッドが生産されています。一方で約6000頭が競走馬としての役割を終えて引退していますが、その多くの行方は分かっていない実情があります。

角居勝彦 元JRA調教師のインタビュー記事からこの事実を知った著者が、引退競走馬に携わっている方々を訪ねたルポタージュ。

『兎は薄氷に駆ける』 貴志祐介 著


私の本棚 122

    出版社:毎日新聞出版

冤罪を題材にした小説。亡くなった父親の殺人容疑は冤罪だと信じる日高英之、彼が殺人罪で逮捕、公訴される。その裁判での検事と弁護士によるやりとりを通して話が進んでいく。
危険な薄氷の上で割れて呑み込まれるのは駆ける兎なのか、追い込んだつもりが誘い込まれた猟犬なのか。

『詭弁社会』 山崎雅弘 著


私の本棚 121

    出版社:祥伝社新書

「お答えを控えさせていただく」「そのようなご批判は当たらない」といった政治家の答弁。これらは「詭弁」、一見もっともらしいが、実は論理的に正しくない主張や説明である。国民や政治記者の「過剰な従順さ」や「過剰な物わかりの良さ」が政治家の詭弁をこれほど社会に蔓延させた原因の一つと言える。

著者は、詭弁を見抜くための批判的思考は、社会の倫理的破壊(モラルハザード)を回避するためにも必要な能力であり、それを備えた国民を一人でも多く増やすことは、長いスパンで見て、公益に寄与すると述べ、ウソと詭弁という二匹の怪物と本気で戦うべきだと訴えています。

『日本人という呪縛』 デニス・ウェストフィールド 著


私の本棚 120

    出版社:徳間書店

著者は在日オーストラリア人のジャーナリスト。

多様性を認めない日本の社会や集団、世界標準からかけ離れた日本のメディア、自国民を守れない外交、景気低迷を政府の経済失策と見ず、政治の変革を拒んできた国民・・・。

予定調和と現状維持を崩さないように「政治」と「官僚」と「メディア」が変革を頑なに阻んでいる。その結果、国民は社会が受け入れる基準に沿って考えさせられているということに、日本人はまず気付いて欲しいと訴えています。

日本人は意識せずに自分で自分に呪縛を与えていると指摘し、今までの「常識」を疑い、日本人的価値観に縛られていることを見つめ直し、制度やシステムから自由と人間性を取り戻すべきだ、とオーストラリアの例なども示しながら記しています。

『本を守ろうとする猫の話』 夏川草介 著


私の本棚 119

    出版社:小学館

 
「本」を本来のあり方として扱っていない人たちから、「本」を守るために猫と主人公の高校生が旅に出るファンタジー小説。

著者は解説のなかで「本」、とりわけ時代を超えて受け継がれてきた名作の価値について述べています。それらの作品を読み解くには苦労が伴うが、そのことによって人間の本性に触れる真実、時代を超える普遍性というものを感じることが出来ると記しています。

『まほうの寓話』 戸田智弘 著


私の本棚 118

    出版社:幻冬舎

 
30の寓話が解説とともに載せられており、生きていくために必要なことや教訓、判断する際のヒントが記されています。

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